

京都市副市長毛利信二
学生時代から憧れてきたまち、京都に住むようになって3年目の季節を迎えます。
当時の一番の思い出は祇園祭宵山。ドリーム号で早朝の京都に降り立ち、何度も訪れてきた貴船・鞍馬や嵐山を巡って夕刻の四条に戻ってくると、そこはもう宵山の大喧騒。まち全体が明日の巡行を待つ鉾や山と一体となって、人、ひと、ヒトの波で揺れ動いて見えたものです。暑いのに暑さを忘れさせるような、心臓が今にも飛び出してくるような、どきどき・わくわくする感覚。京都駅0番ホームから郷里への最終列車が出る時刻ぎりぎりまで、私はこのまちのエネルギーを体内に吸収しようとしていました。
霞ヶ関に就職し、多少分別臭くなっても、京都は私を魅了して止みませんでした。おいしい食べ物、風格ある街並み、季節感たっぷりの桜や紅葉、そして匂いまでがここでは他のまちと全然違っています。五感で味わうまち、というのでしょうか。
まちの「雰囲気」を京都の大きな魅力に挙げたアンケート結果には頷けますね。説明しようがないこうした魅力は、このまちの大切な資源です。
そして、ここに暮らすようになって、また新たな楽しみを発見しました。それは歩きまわることです。目的地までまっすぐ歩くのはもったいないまち。名前のついた小さな通りを、考え事をしながら、ショッピングしながら、建物を見ながら、わざわざジグザグに歩いたり、時には戻ったりしながら四条通に出てくる楽しみ。
でも、昔と比べて人波以上に車が増えたなぁと感じます。通過していく車に遠慮しながら歩いていては楽しみ半減、第一、危ないですよね。バス、電車などで来るにも便利なまちです、歩くとまちの良さがもっと感じられるまちなのです、それなのに・・・まちの魅力をわざわざ狭めている感じがします。
「歴史的都心地区」、聞き慣れない言葉かもしれませんが、3月末「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の緊急提言の中で、四条通を含む職住共存地区はこのように位置づけられ、今後、歴史的な景観を保存・再生すべき重点的な地区とされました。例えば、世界の歴史都市がそうであるように、建物は高さを一定限度に抑え、優れたデザインのものに整えていこう、ということです。もちろん違法駐輪、不法看板なども併せて対策を講じます。
また、遡って今年1月の年頭記者会見で、桝本市長は「歩いて楽しいまちなか戦略」を提案されました。四条通を始め都心部の道路空間を大胆に再分配して歩行者空間を拡大するなど、歩く楽しみをもっと高めようという提案です。そして、そのために、住民や商店街の代表の方々、警察など関係機関から構成される協議会で具体的な方策を検討し、できるところから交通社会実験にとりかかろうというものです。
どちらも、京都の大切なこの都心地域を「ヒューマンスケール・ヒューマンペース」に再生し、その魅力をさらに高めようとする大切な政策提言です。
自動車に過度に依存したライフスタイルを見直すなど、二つの提言とも、実現するにはたくさんの課題はありますが、地域の皆さん、市民の皆さんとのパートナーシップを大切にみんなで進めていって是非とも実現したいと思います。実現すれば、間違いなくこのまちは、また数歩、他の都市の先を歩むことになるでしょう。
憧れのまち京都が、50年後、100年後も多くの人を惹きつけて止まないまち、いつまでも住み続けたいまちであり続けるために、ご一緒に行動しませんか。
