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四条への手紙 もっと素晴らしい四条通にして行きたい・・・。そんな想いのページです。さまざまな方々からのいろいろな視点でのお手紙を頂戴しております。

四条繁栄会とその周辺の一日

(財)国際高等研究所所長
前京都大学総長

尾池 和夫

条繁栄会は四条通の中で烏丸通から鴨川の右岸までだと聞く。四条通は松尾大社から八坂の石段下までだという。松尾大社の本殿は東向いて四条通をまっすぐ見通している。八坂神社の本殿は祗園町の北端に南に向って鎮座する。四条通の東端の石段は八坂神社の西楼門に登って行く石段である。

の手紙を書くのには四条をもう一度歩いてみなければならない。大阪大学の鷲田清一総長を訪問して、帰りに著書『京都の平熱』(講談社)をいただいた。その本は市バス206番沿線の話である。阪急電車でそれを読んでいて、すっかり影響されてしまって、よい機会だからと西院駅で降りて東へ歩きながら街を観察することにした。

うすぐ開業100周年を迎える嵐電が四条通の南側を平行している。祗園会の起源となった壬生の氏神、梛神社(元祗園社)の所で坊城通を横切る。その右手に行くと壬生寺である。大宮通まで行くと嵐電は終点である。

間がなくなって河原町までまた阪急電車に乗り、四条繁栄会を地下で通り抜けて、四条大橋を渡る。橋の上で北に見えるのが北山の準平原で、平らな山並みは1億5千万年ほど前に南方の海底で堆積した岩盤である。行く手に見える東山は100万年ほど前から始まった活断層運動で隆起した山地であり、正面の八坂神社や円山公園は清水山西断層の崖の手前の扇状地にある。

見小路を下って甲部歌舞練場の都をどりの会場へいそいだ。小富美さんの京舞を見なければ新年度が始まらないのである。京舞が生まれたのも、元をたどれば京都盆地の厚い堆積層に含まれる豊かな地下水から生まれた茶の湯の文化である。その堆積層は活断層運動で形成された。

条通が歩行者だけの大通りになる日があるのは楽しい。その試行に偶然出会ったときには、うれしくて真ん中を歩いた。ストリートギャラリーもたびたび開催してほしいと思うし、地下道でも京都の学生さんたちの絵を常設展で見せてほしいと思う。結局この日、甲部歌舞練場を出て、また四条通を鴨川右岸までもどってきた。東華菜館でいつも必ず加える水餃子と糖醋肉のあるメニューで食事して、やはり結局は四条繁栄会で終わるという一日であった。

御池和夫
  • 1940年、東京で生まれ高知で育つ。
  • 1963年、京都大学理学部地球物理学科卒業。
  • 1973年、同大学防災研究所助教授就任。
  • 理学部教授、副学長、大学総長を歴任し、2008年、京都大学名誉教授、財団法人国際高等研究所フェロー。
  • 2009年4月より同研究所所長。
  • 著書に「中国の地震予知」(NHKブックス)、「日本地震列島」(朝日文庫)、「俳景ー洛中洛外・地球科学と俳句の風景」(宝塚出版)ほか多数。京都大学総長時代に考案した「総長カレー」や三種類の「ナイルビール」も大きな話題を呼んだ。

御池和夫写真